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カノンと分かりあって三日が経った。
あれから、カノンはユートの世話を手伝ってくれるようになった。
まぁ、カノンが手伝ってもユートがよくいなくなるのには変わらないが。
そして、またクレアはユートを探すのだ。
今もユートを探して町を見て回っている。
もしかしたら裏道にいるのかも、と思い曲がるとそこには二人の男がいた。
なんとなく嫌な感じがして通り過ぎようとすると突然腕を掴まれた。
男達ははニヤニヤと汚い笑みを浮かべている。
正直言ってクレアが一番嫌うタイプだ。
「お姉さんいい身なりしてるよね。ちょっと俺達に恵んでくれない?」
腕を掴んでいる男が言った。
クレアは黙ったままだ。
「ちょっとお姉さん、無視は酷くない?」
もう一人の男がそう言いクレアに手を伸ばそうとするとパンッ、と高い音がした。
男が驚いたようにクレアを見る。
クレアが怒りを露わにした様子で男達を睨みつけた。
「いい加減うるさいわよ。私は急いでいるの。そこをどきなさい。それと、汚らしい手で私に触らないで」
そう男達に吐き捨てた。
すると、そう言われた男達は怒った。
「何だと!てめー、こっちが大人しくしてりゃつけあがりやがって!」
そう言うとクレアの肩を掴み壁側に押し付けた。
ドンッ、と鈍い音がする。
クレアが痛みにうっ、と呻き顔を歪める。
そのクレアの様子を見て気をよくした男は更に言葉を続けた。
「おい、この生意気な女、もうそんな態度出来ないようにしちまおうぜ」
そう言うとすぐ傍に控えていた男は賛成と言うようにクレアに近づいてきた。
男がクレアに手を伸ばそうとすると隣の方から声が聞こえた。
「俺の知り合いに何してんの」
その場にいた全員が声のした方を向いた。
そこにはユートが居た。
「ユート・・・!」
クレアが声を掛ける。
ユートはいつもの飄々とした笑顔ではなくどこか怒りを纏った笑みを浮かべていた。
「ねえ、俺の知り合いに何してんの」
その雰囲気に押されたのか男達がクレアから離れ後ずさる。
そして、そのまま後ろを向いて逃げ出した。
ユートがクレアを見るとクレアは肩を押さえ、小さく震えていた。
だが、彼女のプライドなのか彼女は泣いていなかった。
その様子にユートは小さくため息を吐き自分の来ている上着をクレアに掛けた。
そして、その上からクレアを抱き締めた。
突然の行動にクレアはパニックになり暴れたがユートが押さえ込んだ。
ユートは宥めるようにクレアの背中を軽く叩き言った。
「よしよし、怖かったな。もう安心しろ、俺が傍にいてやるから」
そう言われて思わずクレアは堪えていたものが溢れだしてしまった。
次々に瞳から涙が零れる。
そのままクレアは声を上げて泣いてしまった。
泣いている間、ずっとユートはクレアを抱き締めていた。
一時間後、二人は家への道を歩いていた。
日はもう沈みかけている。
ユートが少し気まずそうにしているとクレアが声を掛けた。
「ユート」
「あぁ?」
ユートが返事をするとクレアは少し恥ずかしそうに顔を赤くし言った。
「さっきは・・・助けてくれて・・あり、がと・・う」
その言葉にユートは驚いたように目を開きそして笑った。
「ちょっと!どうして笑うのよ!」
「あぁ、わりぃ、ちょっとお前の口からそんな言葉が出るのが以外で・・・」
「失礼な人ね!てか、別に貴方が来なくても何とかなったのよ!?」
「嘘付け、めっちゃ震えてたくせに」
「あれは違くて・・・」
そう言うと更にユートは笑った。
そしてクレアの頭に手を伸ばし言った。
「まぁ、次また何かあったらまた俺が助けてやるよ」
そう言って、なっ?とこっちを見てくる顔に夕日がかかって少し綺麗に見えた。
思わず顔が赤くなる。
その顔を隠すようにクレアはそっぽを向きながら言った。
「ま、まぁ貴方がどうしてもって言うなら守らせてあげてもいいわよ?」
我ながら苦しい言い訳だと思う。
だがユートは約束な、とまた笑顔になる。
その笑顔にまた顔が赤くなってしまったのは秘密だ。